【謹告】第2回 小林長太郎まつりのお知らせ
ブログも2度死ぬ 人間は2度死ぬと言います。 1度目は通常の意味あいにおける死です。 意識は消滅し,肉体も滅びます。 ただし,肉体が滅びた後も,その人間は遺された者の心の内に生き続けています。 しかし,いずれ思い出してくれる者が誰もいなくなってしまうときがやってきます。 これが2度目の死です。 今度こそ人は,永遠の死を迎えます。...
View Article[転載]ねむりうさぎと豆はんみょう
うっそうとみどりの木々がおいしげり、すきとおったみずうみがあって、色とりどりの草花が咲き乱れ、まだ人間は誰も足をふみいれたことのないようなふかい森林の奥に、一羽の年若いねむりうさぎがいました。 ねむりうさぎというのは、ただずっと、いつまでもねむりつづけるふしぎなうさぎで、全身を真っ白なふさふさの毛におおわれた、とても美しい生き物です。そのねむりうさぎの名前はハルシャ。...
View Articleサバイバーズ・ギルトと「レ・ミゼラブル」
震災をめぐる罪障感とうしろめたさ 「生き残りの罪障感」(サバイバーズ・ギルト)という言葉を知ったのは,野田正彰さんの『戦争と罪責』(1998.8)を読んだ時でした。...
View Articleウサギを殺す残酷な実験の話―60万ヒット到達の日に
ウサギを殺す残酷な実験 ※残酷なお話なので,苦手な方はただちに別のページに移動して下さい。 日本で発売されているシャンプーは,ウサギの目で実験されてきました。 まばたきができないように瞼をクリップで固定されたウサギの目に,シャンプーの濃縮液をたらして長時間放置するという残酷な動物実験です。...
View Article横光利一『夜の靴』再読メモ
玉音と足駄の音 横光利一の『夜の靴』(1947年)を読み直しました。 疎開日記の形式で書かれた小説です。 未読の方のために,昭和20年8月15日が東北の農村にどのように到来したのかを印象的に描いた名文として,多くの人に引用されてきた冒頭部を紹介しておきます。八月――日...
View Article現地報告―私は春の旅人!
長崎稲佐山なう! 運転手さんに福山雅治さんの実家の前を通ってもらい,地元ネタの話をあれこれ聞きながら,稲佐山の山頂にある展望台の屋上にやってきました。 日本三大夜景の一つであり,「1000万ドルの夜景」と称される通りの絶景です。 少し肌寒さが残る感じですが,写真の通りで,大勢の人が夜景を楽しんでいます。志賀高原一の瀬スキー場わず! 昨日は志賀高原でスキーをしていました。...
View Article『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』についてのあんまりネタバレにはならないはずの与太話
なんだかガラパゴスな多崎つくるの世界 8年ほど前,綿矢りさの『蹴りたい背中』を読んだ時,ハツが待ち合わせに遅れる場面で,にな川も絹代もいらいらしながら待つだけで,高校生のくせに携帯電話で連絡をしようとしないことに違和感を覚えました。(「『蹴りたい背中』と電話」) 昨晩から今日にかけて村上春樹の最新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだ時も,私は同じような感覚に襲われていました。...
View Articleネタバレになるはずの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』についての与太話
注意:ネタバレあります!沙羅双樹の花の色 多崎つくるを取り巻く作中人物にアオとアカとシロとクロという4つの色を配すること自体は,あまりにも見え見えな設定です。 前回の記事(4/14)にも書いた通り,4つの色は,アオ=青龍―東―春,アカ=朱雀―南―夏,シロ=白虎―西―秋,クロ=玄武―北―冬という具合に,天の四神を表していると考えられます。...
View Articleネタバレ承知之助による『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』についての与太話
ネタバレあります。ご注意下さい!多崎つくるの父の世代 フィンランドに行く数日前に,多崎つくるは,青山のガラス張りのカフェから通りを歩く沙羅を目撃します。 「がっしりした体格の中背の男」が一緒でした。 その男は「濃い色合いのジャケットを着て、ブルーのシャツに、小さなドットの入った紺のネクタイ」を締めています。 「きれいに整えられた髪には、いくらか白いものがまじって」いる「中年の男」です。...
View Article本田圭佑の“個の力”
競争ではなく協働 内田樹さんが『街場の教育論』(2008年)の中でキャリア教育について持論を展開し,「就職活動で、学生たちはそれまで自分たちが『競争』の過程で教わってきたこととはぜんぜん違う基準で選別されるという経験をします」と述べています。 社会的活動,あるいは労働というのは,「競争」ではなく「協働」だと言うのです。 「労働」の場とは言い換えると「協働」の場のことです。...
View Article近況―元・テレビっ子のウェブ2.0
元テレビっ子,NHKオンデマンドを契約 ウルトラマン・シリーズと仮面ライダー・シリーズを比較しながら現代日本の思想空間の変容を論じた『リトル・ピープルの時代』(2011)の著者で,AKB48の熱烈なファンとしても知られるイケメン(!?)批評家とは誰でしょうか? それはもちろん,宇野常寛さんです。 彼が出演した特番を見てNHKオンデマンドの契約をしたのは,今年1月ことでした。...
View Articleもうひとつの近況―【はじめてみた】サイエンス 2.0
『日本文学』電子化・公開事業 1946年に設立された日本文学協会の機関誌『日本文学』(月刊)の電子化&公開事業がスタートしました。 電子化と公開の前提として著作権者の許諾を得ることが必要で,そのために現在会員ではない執筆者のリストを作る必要があります。 めぐりあわせで私がボランティア部隊の一員に加わり,2年分のバックナンバーを調査を担当することになりました。...
View Article特別寄稿「魂のいちばん深いところ」を読む―村上春樹のスピーチは不遜?
村上春樹がつい「先生」と呼んでしまう人 『考える人』2013年夏号(新潮社)に掲載された村上春樹の特別寄稿「魂のいちばん深いところ―河合隼雄先生の思い出」を読みました。 河合隼雄物語賞・学芸賞創設記念の「公開インタビュー in 京都―魂を観る、魂を書く―」(2013.5.6)の冒頭に行われた20分あまりのスピーチをもとにしたものです。...
View Article観る前に書くジブリ映画「風立ちぬ」評
観てから書くと長くなりそうなので,観る前にレビューの“予定稿”を書いておきます。 そもそも観ていないのでネタバレはありません。ご安心下さい。堀辰雄と村上春樹 竹内清己さんの『村上春樹・横光利一・中野重治と堀辰雄―現代日本文学生成の水脈』(2009年・鼎書房)は,「�村上春樹と堀辰雄」という章から始まっています。...
View Article肉眼で見た福島第一原発と90年目の9月1日―震災記(17)
福島県浪江町請戸 地元の方の案内で,福島県浪江町の請戸地区を訪れることができました。 浪江町というのは,福島第一原発のある双葉町の隣町で,大半が20キロメートル圏内にあります。 そして請戸地区というのは,福島第一原発から10キロメートル圏内にあり,震災後1ヶ月以上も救出活動ができずに放置されていた場所です。 人影は皆無で風の音と波の音がかすかに聞こえるだけ。...
View Article相馬高校での群読の授業と東北電力の町―震災記(18)
相馬高校の土曜講座 私が福島県立相馬高等学校を訪れたのは,東京大学医科学研究所,立命館大学教育研究研修センター,学習評価研究所,世界こども財団の支援を受けた授業奉仕のためでした。 「土曜講座」と名づけられたプログラムで,5月に開成中学・高校の石川勝也先生(地学)が,7月には京都大学アメリカンフットボール部前監督の水野彌一先生が特別授業を行いました。...
View Article福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」が秀逸すぎるので…
NAVERまとめの「【これはすごい】福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」が秀逸すぎる」という投稿が評判になりました。 以前から話題になっている福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」のエッセンスを画像入りでまとめたもので,「こんな間違ってても本を見つけてくれる司書さんはすごい!」というコメントがついています。...
View Article宮藤官九郎の「あまちゃん」とドラマ表現の現代
小説と商品名 近代文学史上の名作と言われるような小説には,基本的に商品名は登場しません。 流行よりも不易を尊び,時代や国を超えた普遍性を求める芸術において,商品名のようなものは不純物であるからです。 そういうものを不用意に入れてしまった小説は,そこから古めかしさを醸し出すようになり,その部分から腐食が始まり,やがては朽ちてしまいます。...
View ArticleMRIC医療メルマガ通信からレポートが配信されました。
作家の村上龍が編集長を務めるメールマガジンJMM(ジャパン・メール・メディア)において,MRIC by 医療ガバナンス学会から転載された記事が配信されることがあります。 先週も,朝日新聞の医療サイト「アピタル」から転載された「内部被曝通信 福島・浜通りから~小中学生は検出限界以下に抑えられている」という記事が,MRIC経由でJMMから配信されました。...
View Articleでんでん虫の唄のヘビーローテーション―嘘みたいな本当の話
私が乗っているバスにTシャツ姿の若者が乗り込んできた。 ドアが閉まると,なぜかすぐにステップに逆戻り。 最後部の座席に座っていた私から見ていても,明らかに挙動がおかしい。 「なかに入って下さい」とうながす運転手を無視するようにでんでん虫の唄を歌い始めた。 ワンフレーズ歌うたびに,背中を前ドアに激しく打ちつける。 バスが微妙に揺れている。...
View Article